Gallery OUTofPLACE では4月30日(日)まで百々俊二写真展 『 花 母 』-はは-が開催中です。

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このたびこの写真集が刊行されます。
百々俊二 河瀬直美 写真集「花母」
500部限定 Edition No.付き。
判型A3変 総頁56ページ 袋綴じ上製本 奈良晒をあしらった表紙と美装函入り  
定価28.000円(税込み) 
造本 : 町口覚(マッチアンドカンパニー)


4月22日(土)には16:00より出版記念のトークショー、サイン会が開催されます。

今からちょうど二年前、映画作家河瀬直美は、一人の赤ん坊を出産した。
かねてから河瀬の世界を見守ってきた写真家百々俊二は出産現場に立ち会い、克明に撮影する。
その結果出来上がったのが、「花母」シリーズである。
しかしこの作品群は単に出産シーンを撮ったドキュメンタリーに終わっていない。
河瀬直美が作家として自身の内部に孕み、やがて産み落とされる「物語」そのもののを捉えた
メタファー的作品として解釈できるだろう。
真冬の夜空に打ち上げられた花火でこの写真集ははじまる。
これは毎年一月初め奈良若草山の山焼きに先立って打ち上げられる花火である。
河瀬直美直筆のタイトルの後、満開の桜の大木が現れるが、
これも奈良の正倉院の裏山に毎年咲く老桜である。
柔らかな光に包まれた部屋の中で、出産は進みやがて赤ん坊が産まれる。
子と母と祖母が世代を超えて一つの輪につながる濃密な時間を
百々はドラマチックに、かつ厳かに表現している。
全ての画面が美しくも強いオーラを放っている。
たゆまなく存在してきた風土や文化、そこに生まれてはやがて逝き、そしてまた生まれる命。
壮大な宇宙の物語が一人の赤ん坊の誕生の瞬間をとおして描かれています。
その風土と同じ程に、写真集「花母」がこれから先も延々と語り継がれていくような
ひとつの「遺産」になることを信じて、一切の妥協を排し丹念に制作いたしました。
河瀬直美は「命を授かるということは、命を分かつということ」と語っています。
まさに命を分かつ思いで、この写真集を一人一人の読者の手に届けたいと考えています。


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