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世界の絵本を販売するインターネット古書店パビリオンブックスは、ただいまGallery OUT of PLACEとなりの古い家屋を改装作業中。完成すれば絵本の販売と喫茶営業を行う素敵なお店が誕生します!
リアルタイムで改築が進む手作りショップからお届けする好評連載コラム、第7回目はパビリオン探偵、不陸の謎を解き明かし世界の謎にも迫ります。今回も必読!


7.「水を征するものは」
改めて調べてみると、屋根の不陸の原因は各柱の根本にありました。考えてみれば当然のことなのですが、一般的な軸組構造の家は柱によってその荷重を支えていますから、柱のずれや傾きがその上部に歪みとなって現れていたわけです。
そして狂いの原因はシロアリだけではありませんでした。柱によっては元々ずいぶん頼りない立て方をしてあったのです。昔の家には珍しくない工法ですが、独立基礎(浮き基礎)といって礎石(建物の土台となる石)が柱の下にだけ置いてあり、例えば地面にめり込んだりしていくつかの礎石が元の高さより沈んでしまうと、当然その上の柱はまったく利かなくなってしまいます。また物資不足の時代に建てられたのか、あるいは庶民の長屋であれば普通のことだったのか、ともかく平らなどっしりした礎石はほとんど見当たりませんでした。丸い石はまだしも、レンガやなんと木片を挟んだものまで!最初に見たときはさすがにぎょっとしたなぁ…。

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しかしなぜ礎石が地面に沈んだりするのか?木片を挟んだものも、さすがに最初からそういう建て方だったのではなく、どうも沈んだ礎石との間隙を補うために後から差し込んだと思われる状態でした。
地面に石が沈む!?まるでミステリーみたいですね。でも実はそういう現象は珍しいことではないのです。「液状化現象」といえば最近は地震のニュースでも頻繁に取り上げられますが、振動によって土砂と水が分離し、重い土砂が沈む(水は溢れ出す)現象ですね。こういうことは特別な場所だけではなく、地下水など水を豊富に含んだ地面ならどこでも起こり得ます。だから長い年月の間には、礎石が移動することもままあるのです。
屋根の歪みは柱の狂い、柱の狂いは礎石の(即ち地面の)歪み、そして地面の歪みは大地が波打っている証!一見硬く締まって見える地面も、地球規模の視点から眺めればまるでプールのようにふわふわとたゆたっているわけです。実際、後に水道工事やガス工事で来た職人さんたちは事も無げに言っていました。「この下をもう数メートル掘れば、地下水が川みたいにジャージャー流れてるよ」。傷んだ柱根や明らかに傾いた礎石をためつすがめつ眺めながら、いつしかぼくもその‘地中の川’の存在をはっきりと感じるようになっていました。
シロアリにしても地中の水と無関係ではありません。湿った場所を好むからです。突き詰めると水は家屋を根本から脅かす大敵であり、水との戦いを征することなくして安全安心は得られないのです!…なんだか住宅メーカーの回し者みたいになってきましたね(笑)。
ともかく家と大地と水との関係を考え始めたら、またまた世界が新しく見えてきました。昔から良いとされる土地の条件、奈良に数多く残る寺院などの立地、それらも水の流れに視点をおいて眺めてみれば改めてハッと思い当たるのです。あ、なるほど、これが風水(つまり空気と水の流れ)ということか!
…こんな調子だから、肝心の修復工事はちっとも進まないのでありました。
(パビリオン隊長)

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