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不屈のDIY精神でもってさまざまな困難に立ち向かうパビリオン隊長の好評連載コラム、今回はなんと「コンクリ打ち」に挑戦!
9.「コンクリートって何だ?」
コンクリートで施工することを「打設」、ふつう「コンクリ打ち」といいます。人生初のコンクリ打ちは、ずれを矯正した柱根を固める段に訪れました。
突然ですが、コンクリートって何だかご存じですか?
工学部で学んだ人や建築関係者を除けば、答えられる人はたぶんほとんどいないと思います。かくいう自分もそうでした。こんなにも身近に溢れているのに!考えてみれば不思議ですよね。自分で家づくりを始めてみると、そういうことがなんと多いことか思い知らされてばかりです。
簡単に言えば、コンクリートは砂利と砂とセメントに水を混ぜて固めたもの。この中でセメント以外は実に身近な材料です。セメントは主に石灰石と粘土等を混ぜて焼いて作られます。セメントは水と化学反応して硬化するため、いわば砂利や砂(骨材といいます)の接着剤として働くのです。コンクリート建築といえば近現代の技術に思われがちですが、原材料はやや異なるものの原理的には同じものが実はかなり昔から使われていました。有名なローマ時代の建築もコンクリート造の一種、なんて聞くと何だか面白そうでしょ?例によってコンクリだけでご飯10杯、いやコラム10回分くらいは軽くいけそう…だけど、それはまた別の機会に。
比較的慣れていた木工との大きなちがいは、時間を気にしなければならないということ。気温にもよりますが、コンクリは混ぜた材料に水を加えた時点から徐々に硬化を始めます。少しずつ水気が退いてゆき、だいたい半日〜1日で崩れなくなります。ゆっくりと時間をかけて硬く強くなる性質のため本来の強度が出るのは数日〜数週間後ですが、だいたい最初の2時間程度以内には造形を終えねばなりません。慣れるまでは、これがけっこうプレッシャーなわけです。
ただでさえ水が蒸発しやすい真夏、余計な時間をかけないよう細心の準備を施してから、いざ!材料に水を加えて混ぜ始めました。ところが…、どうも思っていたような状態にならないのです。コンクリートといえば工事現場でミキサー車から降ろされている、あのドロドロしたいわゆる生コンは見たことがありました。なので自分で作ってもそういう状態になるものだと想像していたのですが、水を加えていっても一向にドロドロしてこないのです。渾然一体とはならず、砂利の粒がはっきりとしています。
これでいいのか?水が足りないのか?でも水を加え過ぎるとシャバシャバになって硬化後も十分な強度が出ないって書いてあったし…。アレレ、どうする?どうする??
釈然としないまま、しかし時間は刻々と過ぎてゆきます。一旦水を加えたらもう後戻りはできません。とにかくこれで打ってみるしかない!半信半疑のまま、柱根の周囲を囲んだ型枠の中へ、そのじゃりじゃりコンクリートを詰めてゆく…。でもその様子があの工事現場の生コンとはやっぱり全然ちがう。どこでまちがったんだろう?いや、まちがってないはず。やり直しか?あぁ、まだじゃりじゃりしてる…。気ばかりが焦り、たった10リットル程度の初コンクリ打ちで、ぐったり疲れ果ててしまったのでした。
(パビリオン隊長)
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