
マイペースながら着実に歩みを進めるパビリオン隊長のDIY改築工事。作業を通じて得たさまざまな発見をわたしたちに伝えてくれる現場リポートコラムの第17回目は、古い木材の味わいは如何にして生まれるのか、隊長が徹底検証を行います!
それにしても隊長、今年は作業おつかれさまでした〜。
08年もよろしくです!
17.「年月が作り出すもの」
古い家の柱や床って、えも言われぬ風合いを醸し出していませんか?よく「黒光り」とか表現されるアレです。
木材の色は年月とともに変化します。いや、今でこそそう言ってはいますが、実際のところあまりそれを意識したことはありませんでした。黒光りした柱にしても、多少
の経年変化はあるにせよ、最初から濃い色の木材が使われていると何となく思っていたんです。ところが表面をすこし削ってみると、中から出てくるのは真新しい生木!
いや何度も言いますが、そんな当たり前みたいなことでさえ実際にこの目で見た瞬間には純粋に驚いたのです。それくらい、木材の内部がまったくといっていいほど鮮度を失わないことも改めて知りました。便所の土台に使われていた、表面がボロボロに腐ったような木でさえ!切ってみればやはり若々しい断面が現れるのです。
ところで木材表面の変色は「日焼け」とも呼ばれますが、必ずしも陽に当たるからだけではないようです。我が古家でも数十年間真っ暗闇だったはずの天井裏でさえ、材はすべてすっかり飴色に変色していました。前述の通りどんなに古い木でも切った断面は限りなく生木に近い色をしていますから、つまり色の変化は空気に触れることによって起こると考えられます。そこからふと、大好きなウイスキーを連想しました。
蒸留して抽出されたばかりのほぼ無色透明な原酒が、樽の中で十数年間寝かされ、あの琥珀のような魅惑の褐色へと変化する様子をです。いずれも年月を経て‘深みを増す’ところが似ていますよね。きっと、その変化の原理にも共通点があるのではない
でしょうか?
その他にも年月を経た木材は面白い変化を見せてくれます。例えば直射日光の当たる南側の柱は、木目に沿って波打つように凸凹しています。日射による温度変化や紫外線の影響で、年輪と年輪の間の柔らかい部分がより著しく侵食された結果でしょう。
玄関の引戸にも同様に木目が凹凸に浮き出ている箇所があるのですが、これなどは人工的に作るのは至難と思える造形美です。手で触れると何とも言えない感触がありますよ。
また板塀や板壁の根本付近など、水がかりする箇所は灰色、もしくは白っぽく色褪せているのもよく見かけます。傷んでいて修復が必要かと思いきや、たわしで磨くと木目が浮き出してこちらも面白い表情を見せてくれることがあります。
木材だけではありません。錆びた鉄も、くすんだ瓦も、苔むした庭先のブロック塀も、独特の佇まいを有していることがあります。ひとまずたわしで擦ってみると、意外な趣が現出して、もったいないのでそのままに…という箇所もいくつかありました。何といってもこれらの味わいを人工的に作ることはほぼ不可能と思える点で、古い材料は捨て難いのです。それに新しい建材を使う場合でも、ふとそれが数十年後に果たして美しく古びてくれるのかどうか、が気になります。機能的かつ経済的な建材は非常に魅力でもあるですが、いつまでも古びない、まっとうに朽ちてゆかないものには何か不自然さも覚えるようになりました。エコとか何とかは正直あまり意識してないんですけど…、はじまりと終わりがきちんと見える、あるいは想像できるものにより安心感を覚える、ということなのかもしれません。
(パビリオン隊長)
パビリオンブックス:http://pavilion-b.com/
mail:master@pavilion-b.com
