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世界の絵本を販売するインターネット古書店パビリオンブックスは、ただいまGallery OUT of PLACEとなりの古い家屋を改築作業中。絵本販売と喫茶営業を行う素敵なお店のオープンに向け、毎日試行錯誤の格闘を続けています。
前回から少しインターバルを空けての第28回目は、題して「赤壁」。
フィンランドの家屋に多く、奈良の歴史建造物でもよく見かける朱塗り、その色にはちゃーんと意味がありました。
今回はパビリオンがスカンジナビアとアジアを繋ぎます。必読!


28.「赤壁」
こう見えても(?)学生時代は文学部で地理学を専攻していました。馴染みのない人からはよく「世界の首都とか憶えるの?」などと聞かれますが、いやいや(笑)、地理学ってかなり懐が深いんですよ。ちなみに研究分野は「色彩地理学」で、「色彩における土地からの影響」を調べるため、卒業論文ではフィールドワークで沖縄へと飛びました。
なーんて書くと、ずいぶん勤勉な学生だったようで(笑)。まぁ元をただせば単に美術と旅が好きで、それを両方楽しめる分野を研究対象にしただけなんですけどね。
さて我が現場、というよりようやく新しいお店と呼べる外観になったかつての古家は.、いまや「赤い家」へと変身しました。縦板張りの外壁が、すべて弁柄風の赤で塗装されています。
この色を決めるに際してはまたずいぶんと悩みました。何度も描き直したイメージ画を見返すと、当初は白、それから茶、薄茶(無塗装)など二転三転してきたのが分かります。(実は板を縦張りにするか横張りにするかでも相当悩みました…。)図書館で建築図版をたくさん見比べたり、実物を参考にするため方々を歩き回ったりもしました。
で、最終的な決め手となったのは実はフィンランドの家屋。ちょうどまだ壁を決めかねていた時期にフィンランドを訪れる機会があり、そこで見た一般的な家屋の佇まいに惚れ込んだのです。
フィンランドの伝統的な家屋には赤い板張りの家が多く、合わせて窓縁を白く塗るのも特徴です。その取り合わせは実に可愛らしくて、一目でフィンランド(あるいはスカンジナビア半島)の家だと分かる個性を放っています。
では何故フィンランドの家は赤いのか?よく言われる説明では、昔から防腐効果等を高める目的で外壁に鉄分を多く含んだ土を主とする塗料を塗っていたということです。
フィンランドの土壌が鉄分を多く含むかどうかについて詳しくは知りませんが、同様の外壁塗布剤(またはその色彩)を「スカンジナビアレッド」とも呼ぶことから、土地の特性を活かした伝統工法なのではないでしょうか。ここにも土地と色彩の密接な関係がありそうですね。
また別の説では、近代においてまだ後進地域だった北欧の人々が、当時の先進地であるオランダやベルギーの港湾都市に数多く見られた赤煉瓦の建物群から影響を受けたというのもあります。都市、そこにある豊かな富と文化への憧れが、赤い色に象徴されてもたらされたのかもしません。しかし煉瓦と木材とでは当然工法も質感も違うため、北欧独自の伝統文化として根付き、発展したと言えるでしょう。

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ところで最初に「弁柄(べんがら)風」と書きましたが、日本古来の赤色系塗料といえばこの弁柄。酸化第二鉄を主成分とする赤色顔料です。元々はインドのベンガル地方に産したものを輸入していたためにこの名が付きました。神社などで赤く塗られた鳥居、社殿をよく見かけますね。やはりフィンランドと同様に主に木質材を保護する目的で塗られています。
日本と北欧は遠く離れていますが、木材の扱い方や建築における考え方には実に共通する部分も多いです。木材を豊富に産し、また湖を多く有し意外に湿度が高いという風土も見方によっては似ています。フィンランド人の主な祖先がアジア系民族であることも、ひょっとすると関係があるのかもしれません。
だからなのか…いわゆる舶来ものであるはずのフィンランド風家屋が、実際に作ってみると意外に何の違和感もなく奈良の露地裏に溶け込んでしまいました。いや、周囲に馴染まない奇異な外観になることは避けたかったのでむしろ喜ばしい結果なのですが、人から「奈良らしくていいですねぇ」と言われると、「実はフィン…」と敢えて言うのも野暮。「え、まあ」と照れ笑いしている次第です。
(パビリオン隊長)

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