11月7日、現代アート・スペースGallery OUT of PLACEとなりで、世界の絵本を中心とする古書販売と喫茶営業を行うお店として開店しました！
時間の流れを忘れてしまうほどの落ち着いた空間、ヨーロッパを中心に選りすぐられたかわいい絵本の数々、そしてマスターこだわりのコーヒー。
細部まで神経の行き届いた素敵なお店がまたひとつ奈良に誕生です。
改築作業の模様をお届けしてきた当コラムも今回をもって最終回。
それでは感動の（？）エピローグをどうぞ！
２９．「始まり、始まり」
ずいぶんご無沙汰してしまいました。すみません。
そしてなんとその間に「絵本とコーヒーのパビリオン」はついに祝開店と相成りました！
というわけで七転八倒のDIYお店づくりをお伝えしてきたこのコラムも、今回で最終回となります。
振り返ってみれば掲載は３年近くに渡ったんですね…。工事自体は３年半にも及んだわけですが、まさかそんなことになるとは！
出会った当初の我が古家は、屋根瓦がずれて一部に穴も開いた状態でした。しかしこれ（屋根）を修復すれば、あとは壁を塗り直したり綺麗に掃除をする程度でお店が始められる…というイメージだったのです。そんなに簡単でもないけれど、それ以上には想像が及ばなかったというのが的確かも しれません。
でもコラムで掻い摘んできたとおり、古家を再生させるのは本当にたいへんな道のりでした。作業が嫌になることはなかったけれど、「いったいいつ終わるのか…」と呆けたことは何度かありました。プロのように完成までの工程を見渡すことができず常に目の前の仕事だけに集中していて、またあまりに遠い先のことを考えると却って卒倒しそうになるので無理に考えないようにもしていました。先のことを考えるのは大事ですが、そのために意欲を無くしてしまうくらいならむしろ考えない方がいい場合もあります。
もう９年も前のこと、ふとした思いつきで奈良から東京まで歩いて旅したことがありました。
新幹線なら僅か３時間ほどの距離ですが、歩けば（人にもよりますが）３週間もかかります。でも実際に歩いてみると、当たり前ながら前者の旅よりも数十倍多くの物を見て、多くの人と出会い、多くの考え事をします。ある点と点の間にどれだけ多くの時間と長い距離が横たわっているか、それを体感した後では、何故そんなにも急いでその過程をすっ飛ばさなければならないのか、その理由を逆に考えさせられます。
敢えてゆっくり行きたいわけでもなくて、ひとつずつ、一歩ずつ進もうとするとどうしても時間がかかってしまうという…まぁ体質ですかね。
とはいえ、今回はさすがにかかり過ぎましたが(笑)。
最後の一年くらいはほとんど余裕がなくて、コラムの回数も減ってしまいました。そう考えると、最初の方はまだ余裕があったのかな？当初ものんびりやっていた記憶はないのですが、まだ気楽に構えていたのかもしれません。それもこれもすべて素人の強みというか、無知が故です。
コラムで書ききれなかったこともたくさんあります。無数の驚きや発見、失敗、それに壁となって立ちはだかった人（部局）への憤懣や絶望など…。そう、世の中オカシナことがいっぱいありますね！何気なく暮らしているとそれとは気付かないだけで。
家づくりはまさにパンドラの箱です。
「経験を積んで、やっと要領を得たと思ったらもう作るもの（箇所）がない」とはある先輩のお言葉。確かに！ようやく慣れたところで、家づくりはフィナーレ。残念というか、ちょっと寂しい気がしないわけでもありません。
ただ家づくりを通じて得た知識や経験は、お店を開業してガラリと仕事が変わった今も、不思議に様々な面で役立ち、助けとなってくれています。以前とはちがう見方ができたり、新しいアイデアを思いついたり。
それにようやく始められた本業はまだ初歩の初なので、今は工事を懐かしんでいる余裕もないのです。もっか手探りでコーヒー焙煎やメニュー作りに取り組みつつ、引き続き飽くなき煩悶を繰り返す日々であります。
まぁ「初心忘れるべからず」と言いますから、毎度初心者でいられるというのはある意味では幸福？なのかもしれませんね。
（コラムを読んでくださった方々、どうもありがとうございました！また機会があればぜひ我が現場、改め「絵本とコーヒーのパビリオン」を見に来てくださいね。）
[パビリオン隊長]
絵本とコーヒーのパビリオン
2009年11月7日(土)12:00 オープン
奈良市今辻子町３２−５
0742-26-5199
営業：木〜日曜 12:00〜19:00
http://pavilion-b.com/
mail:master@pavilion-b.com
■年末年始の営業予定
休業期間：2009年12月28日(月)〜2010年1月6日(水)
営業開始：2010年1月7日(木)より
